ダウ理論とは?6つの法則の使い方、FXトレード手法、勉強におすすめの本を分かりやすく解説

未分類
  1. ダウ理論とは
    1. 理論が生まれた背景
    2. ダウ理論の本質
  2. ダウ理論の6つの法則
    1. 基本原則①市場価格(平均株価)は全ての事象を織り込む
    2. 基本原則②トレンドには長期・中期・短期の3種類がある
    3. 基本原則③主要トレンドには3つの段階がある
    4. 基本原則④指標(平均価格)は異なる市場で互いに確認し合わなくてはならない
    5. 基本原則⑤出来高は価格やトレンドを確認する必要がある
    6. 基本原則⑥
  3. ダウ理論を活用したトレード手法
    1. ダウ理論の使い方①:トレンドフォローでエントリーする
    2. ダウ理論の使い方②:トレンド転換を狙った逆張りエントリー
    3. ダウ理論の使い方③:調整トレンドでエントリーする
    4. ダウ理論の使い方④:損切ラインの根拠にする
    5. ダウ理論の使い方⑤レンジ相場を認識する
    6. ダウ理論の使い方⑥:だましを回避する
    7. 勝率を上げる方法①インジケーターと組み合わせる
    8. 勝率を上げる方法②ローソク足と組み合わせる
    9. 勝率を上げる方法③チャートパターンと組み合わせる
  4. ダウ理論を利用する時の注意点や欠点
    1. ダウ理論だけで勝てる?使えない?本当のダウ理論の使い方
    2. ファンダメンタルズ分析は必要?
    3. だましの完全回避は無理
    4. シグナルが遅いのが欠点
  5. ダウ理論の勉強におすすめの本
    1. 先物市場のテクニカル分析
    2. FX超入門 ダウ理論を理解して値動きの本質を掴む
    3. クイズを解いて勝率アップ!FXチャート&資金管理 実践トレーニング
    4. 相場の壁とレンジで稼ぐFX ダウ理論を補強する複数時間軸とテクニカル指標の使い方

ダウ理論とは

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ダウ理論とは、19世紀の終わり、米国の証券アナリスト・ジャーナリストであるチャールズ・ダウが提唱した相場理論のことです。

理論が生まれた背景

考案者であるチャールズ・ダウは、1889年に「ダウ・ジョーンズ社」を設立し、権威ある経済新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」を発行した著名な人物です。
さらに1884年には、今も日々の経済ニュースで報じられる「平均株価」の元となるモデルも考案しました。
後のその名を「NYダウ」に残すなど、投資の世界に非常に大きな貢献を果たしたことで知られています。

そもそもウォールストリート・ジャーナルは、当時アメリカでブームになっていた鉄道関連企業への投資を背景に、株取引に関する情報を発信するために創刊された新聞です。
そんな中、ダウ自らが1896年の紙面に掲載した記事が「ダウ理論」のオリジナルとなりました。
この記事が後になって多くの投資家資やアナリストの評判を呼び、解説本などが出版されて人々の間に広まっていったのです。

つまり厳密には、ダウ自身が理論としてまとめた書籍や論文がどこかに存在するわけではありません。
それどころか世間に広く知られるようになったのは、彼の没後でしょう。

しかし最初の発案から100年以上に渡って精査・研究されていく中で、どのような市場でも通用することが分かり、今では全てのテクニカル分析の原点であると評価されています。
21世紀に入っても株の取引に留まらず、FXや先物取引など市場を問わずに使われるなど、その有効性は揺るぎないものになっています。

ダウ理論の本質

もともとダウ理論は、株価と相関性の高い景気循環の予見をするために考え出されました。
そのため相場がこれから上がっていくのか下がっていくのか、その方向性や循環性がテーマになっています。

結論としては、相場には「トレンド」という状態が存在しており、トレンドにはどのような性質があるかを説明した理論となっています。
同時に相場には「レンジ」という状態もありますが、これはトレンドとは異なるため、ダウ理論の対象ではありません。
つまりダウ理論は相場の全てに使える理論ではなく、方向性のある値動きを説明したものです。

実際のトレンドの定義としては、連続する高値や安値が切り上がって行くのが上昇トレンド、その逆が下降トレンドとなります。

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ただしダウ理論はあくまで相場分析をするための考え方であり、移動平均線などのインジケーターとは違い、そのままの形でチャートに表示させるものではありません。
そのためまずは自分の頭で理解をしておく必要性があります。

ダウ理論の6つの法則

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ダウ理論の元となった記事は、書籍や論文ではないため、決して文字数の多いものではありません。
そこでは市場の値動きを分析する上で、6つの大事なポイントがあると指摘されています。
これを「ダウ理論の6つの基本原則」と言い、後世の投資家たちがそこに様々な解釈も行ってきました。

ここではオリジナルの原文(キーワード)と、その説明や実践法を紹介していきましょう。

  1. 市場価格(平均株価)は全ての事象を織り込む
  2. トレンドには長期・中期・短期の3種類がある
  3. 主要トレンドには3つの段階がある
  4. 指標は異なる市場で互いに確認し合わなくてはならない
  5. 出来高は価格やトレンドを確認する必要がある
  6. トレンドは明確な反転シグナルがあるまで持続する

基本原則①市場価格(平均株価)は全ての事象を織り込む

英文では「The Averages Discount Everything」や「The Market Discounts Everything」、直訳すると「平均や市場はあらゆるものを含んでいる」となります。

ここで言う「平均」とはダウ自身が考案した「平均株価」を指しています。
それを引用した「マーケット」も物理的・概念的な市場ではなく、そこで生じる価格や値動きを含むものです。

ただしFXの場合、特に平均株価に当たるような対象はないため、単純に「通貨の価格」と考えれば良いでしょう。
つまり言い換えると「通貨の価格は全ての事象を織り込む」となります。

■原則①の解釈

ではここで書かれた「全ての事象」とは何でしょうか?

株価の場合はその会社の業績などが対象になりますが、FXでは経済指標や政策金利など、ファンダメンタルズ分析がまず考えられます。
世界的な経済動向や事件なども、価格に大きな影響を与えるでしょう。
しかしそれらの要素は全て、値動きを示したチャートに織り込まれているということです。

言ってみれば、今後の値動きを予測するなら「目の前のチャートだけ見ればいいのだ」ということになります。
なぜなら、現在分かっていることは、もう全てそこに反映されているからです。

■原則①の活用法

価格が動く要因は無数にあります。
それを個々に分析しようとしても手が回らず、時間が経過し相場の変化に乗り遅れてしまうでしょう。
しかし自分が何かをするまでもなく、既にその答えはチャートの中に表示されているのです。

むしろ、大口のトレーダーの方が一般の投資家より先に情報を掴み、仕掛けに入ることが考えられます。
最近ではAIも含めた自動化も進展し、SNSでの要人発言などの突発的な事態にも1/1000秒単位で反応するようになっています。
ならばその結果として動いたチャートを見て、検討する方が確実です。

基本原則②トレンドには長期・中期・短期の3種類がある

英文では「The market Has Three Trends」や「There are 3 kinds of market trends」、直訳すると「市場価格のトレンドには3つの種類がある」となります。

単に3種類では意味が掴めませんが、その内訳として「短期・中期・長期」が示されており、この分類が第2原則のポイントです。
特定の方向に値動きが進むことをトレンドと言いますが、それを期間に分けて整理したことが慧眼でしょう。

■原則②の解釈

それぞれの内容は、具体的には下記の様になっています。

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  • 長期トレンド(Primary Trend、主要トレンド)
    1年から、長い場合は数年以上続くトレンド。月足や週足で確認する。
    極めて長期間で形成され、基軸となるトレンドで、大きな方向性を示す。
  • 中期トレンド(Secondary Trend、二次トレンド、調整・逆行するトレンド)
    数週間から、数か月以上続くトレンド。週足や日足で確認する。
    長期トレンドとは逆行する方向に動き、行き過ぎた動きを調整する局面を示す。
  • 短期トレンド(Pull back Trend、小トレンド、一時的なトレンド)
    数時間から、数週間以上続くトレンド。日足や4時間足で確認する。
    外部要因や利確、損切りなどで価格が一時的に動く、中期トレンドより短い調整局面を示す。

なおここで記載した期間は目安であり、絶対的なものではありません。
トレンドは長期と中期と短期の3つに分類できると理解すれば大丈夫です。

ダウ理論では、小刻みに上下しながらも特定の方向に値動きが向かう状態をトレンドと定義しています。
では、なぜトレンドはジグザグとした動きを見せるのか?
ダウはその理由を、トレンドには長期・中期・短期という複数の期間があるからだと説明しました。

相場にはまず、最も大きな存在として長期トレンドがあり、その調整局面として逆方向に動く中期トレンドがあります。
さらに全ての期間を通じて、小さく短期トレンドが発生すると結論付けたのです。

■原則②の活用法

3種類のトレンドと整理を実際の取引に落とし込むと、下記のような扱いとなるでしょう。

  • 長期トレンド:
    価格の値動きは長期的に見て、上昇していくか下降していくか、いずれか特定の方向に動いている可能性があります。
    これがいわゆる「大局」と呼ばれるものです。
    相場はこの長期トレンドを基本として推移するので、まずは長期トレンドの見極めを行い、その流れに大きく逆らわない意識が必要です。
    特に過去の大きな安値や高値は重要な目安になるので、数年レベルで相場を遡って確認しておきましょう。
  • 中期トレンド:
    行き過ぎた相場の勢いを調整するため、長期トレンドとは逆方向に動きます。
    長期トレンドが上昇していたら下降方向、下降トレンドにあれば上昇を想定しなくてはなりません。
    こうした調整の多くは、長期トレンドの起点から見て、上がり幅や下げ幅の50%程度になるのが通例です。
    あくまで一時的な逆行なので、価格が長期トレンドにおける上値や下値に触れると、そこで反発して元に戻ります。
    そこが新規エントリーや利益確定の機会になるでしょう。
    ただ中期とは言っても、時には数か月に渡って続くこともあるので、一定の長期目線は必要となります。
  • 短期トレンド:
    長期や中期は一定の大きな流れを示すものですが、短期トレンドはその中で随時起きる一過性の値動きです。
    その内容には2つの意味が考えられます。
    1つは、行き過ぎた値動きの調整です。
    これは中期トレンドの中で定期的に発生し、上がり幅や下げ幅の50%程度まで値を戻すので、エントリーや決済の機会となります。
    もう1つは、ニュースなど何らかの要因で起きる価格の逆行で、こちらはいつでも突発的に起きる可能性があるのが特徴です。
    長期トレンドの中での逆行や、中期トレンドの中での逆行、さらには短期トレンド自体が連続して起きることもあります。
    短期目線での取引では、こうした動きをコツコツを活かしていくことが必要です。

基本原則③主要トレンドには3つの段階がある

英文では「Major Trends Have Three Phases」や「Primary Trends Are Split Into Three phases」、直訳すると「主要トレンドには3つの段階がある」という意味です。

先ほどは、トレンドの持続期間を基準として3つの種類に分けましたが、こちらは個々のトレンド自体が3つの期間に分かれるという考え方になります。
具体的には、先行期・追随期・利食い期という区分けです。
そして、こうした段階が生まれるのは、買い手や売り手の動向によって上昇や下落の動きが生まれるからだと説明されています。

■原則③の解釈

ここで言及されている「主要トレンド」をどう解釈するかが問題です。

原文を元に「長期トレンド」とするのが、一般的な解釈ですが、数年レベルで推移するトレンドが対象となるので、あまり実用的とは言えません。
それに対し、期間に限らず、主要とされるトレンドなら全て対象に含まれるという広い解釈も存在します。
いずれにしても一連のトレンドの中には3つの段階が含まれ、それぞれに投資家の心理が反映されているということです。

■原則③の解釈

各段階は、下記のようになっています。

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  • 先行期(the accumulation phase、準備段階、トレンドが始まる時期)
    価格は緩やかに変動していきますが、まだ大きなトレンドにはなっていません。
    動いているのは先に有利な情報を掴んでいる一部の大口トレーダーなどです。
    市場にはまだ情報が不十分なため、前のトレンドは終わったのか、一時的な逆行ではないのかなどが判別できません。
    そのため、多くの投資家は参入するのを迷っています。
  • 追随期(the public participation phase、加速段階、トレンドに乗る時期)
    先行期で始まった価格の変動が次第に大きくなり、テクニカル分析でも指標が明確に出るようになります。
    市場にも多くの情報が出回るようになり、多くの人がトレンドの発生を意識する時期です。
    それに乗ろうと一般投資家も参入してくるため、値動きも活発となり、トレンドに勢いが出ます。
  • 利食い期(the distribution phase、減少段階、トレンドの終わり)
    追随期の終盤になると相場は加熱し、メディアで取り上げられるなどして、素人や初心者も参入してきます。
    その結果、時にはバブル的な値動きをしますが、先行期や追随期に仕込んだ層にとっては利食いのチャンスです。
    また相場の過熱感を見た一部の投資家は、逆張り注文も出し始めるでしょう。
    そうした利食いや逆張りの勢いが強まると相場の方向性は弱まり、あるいは反転し、トレンドの終わりを迎えます。

トレンドはこのようなサイクルを繰り返していきます。

■原則③の活用法

このようなトレンドの段階性を実際の取引に活かすため、下記のような点に注意しましょう。

  • 先行期
    利食い期に大きな山や谷を作って切り返した後、レンジ状態になって次の先行期を待つケースが多くなります。
    しかし経験の少ない個人投資家の場合、先行期の段階で参入するのは難しいと言えるでしょう。
    情報も少ないので、無理に買いや売りで入っても、逆方向に動いて損切りになって追随期まで保有できない可能性があります。
  • 追随期
    目指すべきは、新しいトレンドが明確になっていく追随期での参入です。
    方向性が分かっていれば、流れに乗ったトレンドフォローができるのでリスクも少なくなります。
    特に、先行期からの押し目買いや戻り売りはチャンスになるでしょう。
  • 利食い期
    市場の過熱感が出る前にポジションを持てれば、この時点で一定の含み益が出ており、勝ちトレードとなるでしょう。
    しかし、新しくエントリーするのは危険なゾーンです。
    初心者の多くがここで、「買ったら下がり、売ったら上がる」という最悪なパターンに陥ります。

注意が必要なのは、トレンドは終わりに向かっているのに、メディアなどでは煽るような報道も出ることです。
それを見て参入してくる層は結局、先にエントリーしていた層が仕掛ける利確のカモになってしまいます。

基本原則④指標(平均価格)は異なる市場で互いに確認し合わなくてはならない

英文では「The Averages Must Confirm Each Other」や「Different Market Confirm Each Oher」、直訳すると「指標(平均価格)は異なる市場で互いに確認し合わなくてはならない」という意味になります。

ただし原文にある指標(平均価格)は株式の用語ですので、FXでは別のものに置き換えなくてはなりません。
また「異なる市場」も、どの市場を指すのか検討が必要です。

■原則④の解釈

もともとダウ理論は株式相場の分析です。
当時のアメリカでは、主に工業分野の株価平均と鉄道分野の株価平均が主要な指標でした。
当初、これらの数字の間に大きな関係はないと見られていましたが、実際はそうでないと看破したのです。

工業分野が成長すれば、資材や商品を運ぶ鉄道分野も自然と伸び、それらは市場にも反映されます。
逆に、工業分野の株価が伸びているのに鉄道分野の株価には変化がない場合、トレンドに対する疑問が出るでしょう。
このように、相関性のある他の分野の株価を見て判断しようというのが、本来の第4原則です。

これをFXに置き換えて狭く解釈する時、2つの方向性が考えられるでしょう。
1つは、同じ属性の市場(FX)である、他の通貨ペアです。
この場合、「トレンドの正当性は、異なる通貨ペアで確認し合う」と言えるでしょう。

もう1つは通貨に限らず、それこそ平均株価や、金や石油などの現物資産も考えられます。
実際、為替レートは輸出入額など経済的な要因も大きく関わってくるので、特定の市場だけに生まれた傾向は危険視すべきでしょう。
複数の市場に同じような傾向が出た場合に限り、そのトレンドが信用に値すると考えらえます。

■原則④の活用法

まず、他の通貨ペアを比較対象にする場合があります。

例えば、「ドル/円」市場を対象に取引する時、「ユーロ/円」や「ドル/ユーロ」なども参照しましょう。
そこで互いの値動きが連動しているかどうかを確認しなくてはなりません。
ドルが強ければ「ドル/円」は円安ドル高となりますが、同時に「ユーロ/円」は円安ユーロ高となり、「ドル/ユーロ」もユーロ安ドル高となるでしょう。

またFX以外の市場を見る場合、関連性が高いものとしては、NYダウやナスダック100など株価の平均額があげられます。
これらが好調であればアメリカ経済が好調であることになり、その傾向は米ドルにも反映される傾向があるからです。

またゴールドと、ドルを含めた通貨の多くが相反関係にあることも知られています。
ドルなど通貨の信用不安が広がると、資産の目減りを回避するためゴールドなどの現物に乗り換える動きが出るからです。

まとめると「価格は複数の市場で影響しあう」ということです。

基本原則⑤出来高は価格やトレンドを確認する必要がある

英文では「Volume Must Confirm the Trend」や「Volume should confirm the price」、直訳すると「出来高は価格やトレンドを確認する必要がある」となります。

これでは少し分かりにくいのですが、意味としては「出来高(Volume)はトレンドを反映するので、出来高を伴わない場合は疑ってかかる」となるでしょう。
言い換えると「出来高はトレンドを反映している」ということです。

■原則⑤の解釈

ダウは株式市場での分析を通じて、出来高にも大きな関心を払っていました。
トレンドが強くなるほど、その勢いに乗じたい人が集まってくるので取引の出来高も多くなり、相場には過熱感が生まれるでしょう。
逆に、定期的に発生する調整や短期の逆行トレンドが生じると、出来高も減少してしまいます。

こうした関係があるため、トレンドの信用度を測るには出来高を見るのが効果的だったのです。
株価が上昇しているのに出来高が伴わなければ、その上昇は見かけだけで、実はトレンド転換の手前の状態かもしれません。

この考え方は現在の株式市場でも有効ですが、問題は、FXでは「出来高」に当たる情報が基本的に取れないことです。

■原則⑤の活用法

中央集権的な株式市場とは異なり、世界中で国境の区別なく取引されているFXでは、正確な出来高の数値を取得することができません。
そのため、5つ目の原則については基本的に無視しても構わないでしょう。

強いて取り入れるのであれば、間接的な方法で出来高を推測することになります。
それは、オシレーター系のインジケーターを使ったテクニカル分析です
ただオシレーター系はレンジ相場で有効とされるので、本来の使い方ではありません。
また数値として出てくるのは、あくまで推測としての相場の過熱感ですが、それでも一定の参考にはなるでしょう。

基本原則⑥

英文では「A Trend Is Assumed to Be in Effect Until It Gives Definite Signals That It Has Reversed」や「Trends Persist Until a Clear Reversal Occurs」、直訳すると「トレンドは明確な反転シグナルがあるまで持続する」となります。

これは非常に分かりやすい表現でしょう。
一回始まったトレンドは、何か事情がない限りは永遠に続いていくという意味です。
そのままFXにも応用できる考え方であり、それもあって、6つの基本原則の中で最も重要としている投資家もいます。

■原則⑥の解釈

ここで気になるとしたら、「明確な反転シグナル」とは何かでしょう。
実は、この疑問に関する絶対的な答えはありません。

チャートでは最高値や最安値を付けた所が反転ポイントですが、それは後になって分かることです。
現実的には、何かしらのサインやシグナル、指標などを基準に判断するしかありません。

最も有名なのは、トレンド相場での値動きの特徴である、高値や安値の切り上げや切り下げでしょう。
上昇トレンドであれば安値が徐々に切り上がり、下降トレンドであれば高値が徐々に切り下がっていきます。
そのパターンが崩れたら、トレンド反転の兆しと捉える方法です。

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また、レジスタンスラインやサポートライン、移動平均線などのインジケーターも反転の根拠となるでしょう。

■原則⑥の活用法

トレンド中に価格が反転するケースはよくあります。
しかしその殆どは、中期トレンドや短期トレンドによるものであり、長期トレンド自体はそのまま継続されています。
よほどの何かがなければ、大きなトレンドはそう簡単に終わることはありません。

この原則があるからこそ、トレンドと同じ方向にエントリーするトレンドフォローが取引の王道として、優位性を持っています。
まずは大きな流れには逆らわず、トレンドフォローを確実に行うことから始めましょう。

ダウ理論を活用したトレード手法

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では実際にどのようにダウ理論を使ったら良いかを見ていきましょう。
また、勝率を上げる方法についても紹介します。

基本は大きな流れに従い、逆らうようなことはしないことです。
無理して先行期は狙わず、追随期の出来るだけ早期にエントリーすることを目指しましょう。
そして利食い期で余裕を持って利確するのが、ダウ理論を使った王道の手法であり、全ての取引における基礎となります。

  1. トレンドフォローでエントリーする
  2. トレンド転換を狙った逆張りエントリー
  3. 調整トレンドでエントリーする
  4. 損切ラインの根拠にする
  5. レンジ相場を認識する
  6. だましを回避する
  7. インジケーターと組み合わせる
  8. ローソク足と組み合わせる
  9. チャートパターンと組み合わせる

ダウ理論の使い方①:トレンドフォローでエントリーする

理想はトレンドの起点を押さえることですが、追随期でのエントリーとなっても遅いということはありません。
実際に値動きが始まったのを見てから、それを追いかける形で乗っかって行けば良いのです。

これをトレンドフォローと言いますが、実際のエントリーポイントについては、悩ましいことも多いでしょう。
うかつに調整局面でエントリーすると、相場の逆行に遭って含み損を抱えてしまいます。

おすすめなのは、先行期に付けた高値や安値を少し超えた所でのエントリーです。

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そもそも価格がそこまで来なければ、想定したトレンドは実現しないということになりますから、エントリーのロスをなくせます。
トレンドが生じているなら必ずそこを通過し、抜けていきますから、効率の良いエントリーができるというわけです。
高値を明確に超えると、それを見て多くの投資家が追随するので、トレンドに勢いが付くのもメリットになります。

ダウ理論の使い方②:トレンド転換を狙った逆張りエントリー

「トレンドは明確な反転シグナルがあるまで持続する」ことから、トレンドフォローの考え方を逆方向に使うと、逆張りでのエントリーも考えられます。

明確なシグナルとは、値動きが高値や安値の更新に失敗した時です。
トレンドの反転ポイントを狙うので、追随期ではなく先行期でのエントリーにもなります。

下図では、赤線の左端の安値を更新できず、価格がズルっと落ち込んでいます。

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トレンドが終了して転換していくサインになるので、ここでエントリーします。
あらかじめ指値を置いておくと、最も良い位置でのエントリーができるでしょう。

ただし、反転シグナルが空振りに終わってトレンドが続くと、価格が戻って損失を出してしまいます。
王道はあくまでトレンドフォローであることを忘れないようにしましょう。

ダウ理論の使い方③:調整トレンドでエントリーする

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すでにトレンドが大きく生じている場合、迂闊に乗るのは危険です。
中期トレンドや短期トレンドなどで生じる調整の局面を狙いましょう。

調整局面では、トレンドとは反対側に相場が動きます。
しかしその傾向はやがて止まり、再び元の方向に戻っていくので、そのタイミングを狙ってトレンドフォローを仕掛けるのです。

ここでも高値や安値に注目して、切り上げや切り下げがどうなっていくかに注目します。
小さく見ればトレンド転換ですが、大きく見ればトレンドへの回帰となるからです。

ダウ理論の使い方④:損切ラインの根拠にする

①から③の手法とセットで使えるのが、損切りに対する設定です。
エントリーポイントが明確なので損切りポイントも明確になるでしょう。

考えられるポイントは2つあります。
1つは、それぞれのエントリーポイントから少し離れたところに置く方法です。
損切りにあう確率は上がりますが、トレンドフォローが成功すれば価格はそのまま進んでいくので、大きな問題はないでしょう。

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もう一つは、直近の安値や高値の位置を基準にすることです。
上昇トレンドの場合、高値の価格に逆指値を入れておきます。
そこを超えると上昇トレンドが続いて行く可能性が高いため、損切りラインとしては妥当でしょう。
ただ直近の高値と安値の差が大きい場合、エントリーポイントから離れてしまうので、損切り幅が大きくなるのがデメリットです。

ダウ理論の使い方⑤レンジ相場を認識する

少し例外的な使い方ですが、本来トレンド相場を認識するためのダウ理論を、レンジ相場の認識に使うこともできます。
明白なサインが出ない限りトレンドは終わりませんから、その間はレンジ相場ではないということです。
逆にサインが出てトレンドが終わると、次のサインが出るまで相場はレンジ状態となります。

トレンド相場とレンジ相場では取引スタイルが全く変わってくるので、このような相場認識は非常に大事です。

ダウ理論の使い方⑥:だましを回避する

ダウ理論を応用すると、だましの回避にも役立ちます。

ここで使える基本原則は、4つ目の「価格は複数の市場で影響しあう」と、5つ目の「出来高はトレンドを反映している」です。

まず、価格は複数の市場で影響しあうので、他の通貨ペアや株式市場などの情報を見れば適正な動きかどうか判断できます。
そこで取引対象の通貨ペアだけがおかしな動きをしていれば、それはだましである可能性が出てくるでしょう。
ただ、ある市場で発生しただましが、逆に他の市場に影響を与えてしまうことも考えられます。

だましを人為的に行おうとする場合、それを狙った大口トレーダーにもそれなりの資金が求められます。
そのため、出来高が多くなるほど騙しはしにくくなります。
つまり騙しが発生するのは、出来高が少ない時間帯が多いのです。

FXでは出来高を直接的に把握することは出来ませんが、株式市場などなら分かるでしょう。
ここでも、他の市場の情報を役立てることができます。

勝率を上げる方法①インジケーターと組み合わせる

ここからは、さらに効果的に使うための方法を紹介します。

まずお勧めしたいのが、他のテクニカル分析と組み合わせて組み合わせることです。
特にインジケーターを使うと、自動でチャートに指標が表示されるので、非常にわかりやすくなります。

組み合わせるインジケーターとしては基本となる移動平均線やMACDなどが定番でしょう。
トレンドの発生や持続はダウ理論だけでも理解できますが、移動平均線などを使うと、さらに確実にトレンドの状態を目で確認できます。

またダウ理論を支える重要な要素として、高値や安値の認識がありますが、初心者にとってはそれも1つの壁になってしまうでしょう。
そこでおすすめしたいのが、(Zigzag)ジグザグと言うインジケーターです。

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このインジケーターはチャートの中で大きな目安となる、高値や安値を自動で検知し、ラインを引いてくれる機能を持っています。

勝率を上げる方法②ローソク足と組み合わせる

ローソク足は、FXのチャートで値動きを示すために使われる、日本生まれの手法です。

1本の中に、「OPEN(始値)」「HIGH(高値)」「LOW(安値)」「CLOSE(終値)」という4つの数値が入っており、中でも「終値」が重視されます。
このローソク足の形状からも、様々な市場の情報や予測が引き出せるので、組み合わせたい候補です。

例えば本体部分から大きなライン(ヒゲ)が伸びている場合、価格が伸びた後に戻ってきて、終値を付けて終わったという流れを示します。
この場合、次のローソク足では、ヒゲと反対側に価格が伸びていく可能性が高いと分かるのです。

ローソク足による予測はごく短い期間を得意とするので、時に長期に渡るトレンドを対象とするダウ理論とは、うまく補完関係になれるでしょう。

勝率を上げる方法③チャートパターンと組み合わせる

ローソク足より長い期間で市場予測を可能にするのが、様々な形状を持つチャートパターンです。
トレンド転換を見極めるためには、このチャートパターンとの組み合わせも捨てられません。

チャートパターンには多くの 種類がありますが、その中でも人気の高い三尊天井を使った場合を見てみましょう。
三尊天井は中央の高値と、その左右に発生している少し低い山で構成されます。
3つの山の間には2つの谷があり、その安値を結んだラインがブレイクされると、トレンド転換のサインです。

これはそのまま、ダウ理論でもトレンド転換のシグナルとしている高値や安値のブレイクに相当します。
やや概念的なダウ理論を、目に見える形で整理したものがチャートパターンとも言えるでしょう。

ダウ理論を利用する時の注意点や欠点

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ダウ理論は歴史があり、信頼性や実用性のある理論ですが、利用にあたっては下記のような注意点もあります。

  1. ダウ理論だけで勝てる?使えない?本当のダウ理論の使い方
  2. ファンダメンタルズ分析は必要?
  3. だましの完全回避は無理
  4. シグナルが遅いのが欠点

ダウ理論だけで勝てる?使えない?本当のダウ理論の使い方

ダウ理論は、相場のトレンドがどのように作られるかや、どう対応していけば良いかを教えてくれます。
しかし不確定要素が多いFX市場では、ダウ理論だけを使って勝ち続けることは、さすがに難しいでしょう。

そもそも「相場の7割はレンジ状態」と呼ばれますが、ダウ理論はレンジ相場は対象外です。
トレンド相場だけに絞って取引するという手もありますが、レンジ相場になったことを見抜けない可能性もあるでしょう。

本当のダウ理論の使い方というのは、何より相場環境を把握して、トレンドが発生しているのかどうかを見極める点にあります。
もし発生していたら、長期・中期・短期のトレンドはどのようになっているのか、今は先行期・追随期・利食い期のどこに当たるのか?を確認します。

そして他の市場の動きや出来高、明確な反転シグナルが出ていないかなどを元に信頼性を割り出し、果たしてエントリーして良い状態なのかどうかを考えるのです。
状態が万全でないなら、次のシグナルが出るのを待ちましょう。

ファンダメンタルズ分析は必要?

1つ目の基本原則である「通貨の価格は全ての事象を織り込む」を丸ごと信用するなら、ファンダメンタルズ分析はしなくて良いことになってしまいますが、実際はどうでしょうか?

確かに起きてしまった出来事については、その影響は実際の価格に反映されているでしょう。
しかしまだ起きていないことについては、当然ですが価格に織り込まれているとは限りません。

例えば重要な経済指標の発表があった場合、そこで相場が大きく動く可能性があります。
実際にどのような値動きになるかは分かりませんが、ファンダメンタル分析をすることで、その内容の予測をすることも可能でしょう。
そうなると、事象が価格に織り込まれる前に、いち早く手を打つことができます。
いかに結果が即時反映されるとしても、事前からの対応にはスピード的にかないません。

ただそうした予測も含めて価格に織り込まれている可能性もあるのが、ダウ理論が強く支持される理由でしょう。

だましの完全回避は無理

先ほども説明したように、だましの回避にも使えるというのが、他の手法に比べてもダウ理論の優れたところです。
しかし、だましの問題を完全に解決する事は、さすがのダウ理論でも簡単ではありません。

ダウ理論は、非常に多くの人が知っているので、逆にそれを利用してだましを仕掛けてくる大口トレーダーもいるからです。
ただ、だましは一過性な現象であり、それが終わればまたダウ理論通りに相場は動き出します。
だましに遭ったらすぐに損切りし、次の取引に備えましょう。

シグナルが遅いのが欠点

うまくエントリーさえできれば、後は伸びていくトレンドに乗って利益が増えていくのが、ダウ理論の醍醐味です。
しかし、ダウ理論で欠点となるのは、シグナルの発生が遅いということです。

どうしてもチャートの後追いになるので、エントリーした直後に値段が逆行してしまうことも珍しくありません。
目指したいのは、あくまで値段と同じ方向にエントリーするトレンドフォローですが、そうならないことも多いのです。

この欠点を克服するには、インジケーターなどの併用も効果的ですが、シグナルの発生が遅いことを受け入れる手もあるでしょう。
無理して早いエントリーに拘わらず、トレンドの発生が確実になってから確実にエントリーをするのです。
取れる利幅が少し減っても勝率が上がれば、最終的な収益は高まるでしょう。

ダウ理論の勉強におすすめの本

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FXに関する書籍は多数ありますが、ダウ理論について詳しく書かれたものは、意外に少ないものです。
そこでここでは、ダウ理論を自習するのにおすすめの書籍をご紹介いたします。

先物市場のテクニカル分析

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テクニカル分析を扱った書籍の中では古くから有名で、多くの人が参考にしています。
タイトルに「先物」とありますが、FX取引でも全く問題なく使えるので安心してください。

他の書籍では軽く触れる程度のことが多いダウ理論が、ていねいに解説されています。
チャートパターンやライントレード、移動平均線などのインジケーター類なども網羅されており、体系立って勉強したい人におすすめです。

FX超入門 ダウ理論を理解して値動きの本質を掴む

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FXを始めたばかりの人でも容易に理解できるように書かれています。

特徴はなんといっても、丸ごとダウ理論の説明に終始しているところです。
6つの基本原則や先行期や利食い期の判断の仕方、トレードに向かう心構えや実際のトレードルールまで、詳しく説明されています。
2〜3時間あれば読了でき、実際の事例もチャートで紹介しているので、文字が苦手な人にもおすすめです。

クイズを解いて勝率アップ!FXチャート&資金管理 実践トレーニング

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テクニカル分析に関して、ある程度の基礎ができたら読みたい本です。
実践的な問題を解いていくことで、実力アップが図れます。

その多くは相場環境の認識強化に割かれ、ダウ理論やマルチタイムフレーム分析によるエントリー手法を学べます。
トレンドに関する判断や、高値・安値の掴み方などが向上するでしょう。

相場の壁とレンジで稼ぐFX ダウ理論を補強する複数時間軸とテクニカル指標の使い方

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「相場には壁がある」という着目点で書かれているのが特徴です。
ダウ理論自体についても、6つの基本原則や、実際の取引での使い方が分かりやすく説明されています。

またサブタイトルに「ダウ理論を補強する」とあるように、ダウ理論をベースにして、そこにフィボナッチなどのテクニカル指標を組み合わせていくスタイルです。
非常に再現性が期待できる手法と言えるでしょう。

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